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美月でありんす。
「コンビニはレッドオーシャン(競争の激しい既存市場)、健康産業は敵のいないブルーオーシャン(未開拓市場)」。
ローソンの新浪剛史CEOは今月8日、中期事業戦略を発表し「健康シフト」をぶち上げた。
5年後には薬を取り扱うコンビニを3000店規模で運営するという壮大な計画。
この「ローソンのブルーオーシャン戦略」の成否のカギを握る会社がある。
調剤薬局大手のクオールだ。
クオールとローソンは3年前から「調剤併設コンビニ」を共同で展開してきた仲。
調剤薬局3位で全国に約450店舗を展開するクオールは、もともと別の医薬品大手卸の営業マンだった中村勝社長が1992年に創業。
調剤薬局といえば病院の目の前にあるもの、というそれまでの“常識”に挑み、大病院の門前だけでなく街中の中小クリニック近くや駅構内、繁華街などに出店、「利便性の高い、新しい調剤薬局」を目指してきた。
2010年に第1号店を出した「ローソン+クオール」も、その一環。
出資を受けていた三菱商事の縁で共同店舗の展開を始めた。
外観も運営も、限られた数の一般用医薬品(大衆薬)を置くだけのコンビニとは一線を画し、「調剤薬局」を前面に出した取り組みだ。
クオールがローソンのフランチャイジーとして、人材確保や店舗運営を担う。
調剤部分はクオールの取り分で、物販は粗利益の一定部分をロイヤルティーとしてローソンに支払う。
業界の垣根を越えた画期的な取り組みだった。
コンビニにとって医薬品は魅力的な商材だ。
価格が高い半面、場所を取らないので坪あたりの利益率が高い。
コンビニが取り込みたい高齢層がメーンの客層である点も含め、調剤との連携は「可能性があり、新業態として期待できる」(野村証券の繁村京一郎シニアアナリスト)。
調剤薬局側にとってもメリットは大きい。
コンビニを併設することで来客頻度が高まる。
薬の処方には時間がかかるので、その間に生活品を「ついで買い」してもらうシナリオが描きやすく、客単価も上げられる。
キラーコンテンツを手にするコンビニと、コンビニの集客力に頼れる調剤薬局――。
「ウィンウィン」のはずの組み合わせだが、実は現状は成功とは言い難い。
昨年に掲げた「ローソン+クオール」の出店計画は14年3月期に100店舗だったが、今年6月末時点で34店舗にとどまる。
さらにこのうちクオールが黒字を確保できているのはたった6店舗だ。
誤算の理由の1つは認知度の問題。
「ローソン+クオール」は東京を中心に出店したが、消費者にはいまだ見慣れない存在。
「医者からの処方箋をコンビニに持っていって薬をもらう」という行為がいまだ一般的でない中、安定的に処方箋を集めるには「出店から3~4年はかかる」(クオールの中村敬副社長)。
ただ、その点はクオールも覚悟の上だ。
もともと「簡単に利益を生むとは思わないが、将来のことを考えた挑戦」(中村社長)という位置付けだった。
「コンビニで宅配便」「コンビニで料金収納」も認知度を得るまでには一定の時間がかかった。
そうなれば、「コンビニで処方箋」も時間に解決してもらうしかない。
もう1つの誤算である「(コンビニと薬局の)立地戦略のズレ」(中村社長)については、ローソンも含めた戦略見直しが必要だ。
コンビニとしては有望な立地でも、調剤薬局側としては近くに病院やクリニックがなければ医薬品を求める客は少なく、単なる「人件費の高い薬剤師がいる売り場面積の小さいコンビニ」になってしまう。
ローソンの新浪CEOは「これからは調剤だけでは食べていけない時代」と、街の調剤薬局やドラッグストアのコンビニフランチャイジー化に自信を見せ、3000店のチェーン展開は可能と言う。それにはまず、モデルケースであるクオールとの取り組みを収益化し、ローソンと組む「恩恵」を明確にする必要がある。
一方のクオール。
巨大な提携相手に飲み込まれないためにも、自社の持つ強みを最大限に生かす必要がある。
活路になり得るのがクオールが持つ、薬剤師などの医療資格者の豊富な人材プールと、全国にある店舗を通じた人材育成機能だ。
医薬品の販売要員に必要な教育はコンビニ店員の比ではない。
調剤を担当する薬剤師はもちろん、大衆薬の販売にも「月80時間以上、1年間以上」などの実務経験を持つ「登録販売者」を配置しなければならない。
クオールは店舗で登録販売者を育成するほか、子会社の医療系人材派遣会社を通じて、薬剤師や登録販売者を派遣するビジネスも展開している。
クオール株の16日の終値は569円と「ブルーオーシャン戦略」の発表から3%高の水準。
6~7月にかけて実施した公募増資と売り出し、第三者割当増資(約33億円)が嫌気され、株価は年初からは約25%安に沈む。
資金調達をした上での多方向への積極的な事業展開に対しては「取り組み自体は興味が持てるが、収益の足を引っ張っている」(国内証券アナリスト)と見られている段階。
「ローソン+クオール」の収益化に道筋さえつけることができれば、その先にはローソンがこぎ出す広大な「青い海」があるだけに、今後再評価される展開もありそうだ。
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